𠁣𠁣𠃛𠃛

『封神演義』第十三回中、 民國66年河洛圖書出版社刊『白話本封神演義』では119頁に、 「㩕起拳來、或上或下、𠁣𠁣𠃛𠃛、一氣打有一二十拳」 という一文がある。

『漢語大字典』第二版(2010年四川辭書出版社刊)の第1巻33頁の「丨」部に「𠁣」と「𠃛」とが見えていて、 「象声詞。表拳撃声等」と説明され、 この『封神演義』の箇所が引かれているが、 注音符号が記されていない。 1986年の同辞書初版では第1巻の28頁の「丨」部に「𠁣」が、同巻51頁「乙」部に「𠃛」がみえる。 いずれのエントリにも「象声詞。拳撃声」と説かれるが、 やはり発音がどうなのか書いてない。

拳撃と言うのだから「乒乒乓乓ぴんぴんぱんぱん」のような音かと思うが、 『三刻拍案驚奇』第二回に「一日赴館、往一鐵店門前過、只聽得𠁣𠁣𠃛𠃛、兩個人大六月立在火爐邊打鐵」という用例があって、これは鍛冶屋が鉄を打つときの音らしい。

「乒乒乓乓」を毆り書きすれば、崩れて「𠁣𠁣𠃛𠃛」のように見えるということもありうるから、つまらぬ訛伝かもしれない。

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